チューリップ

 小さい庭に咲いたチューリップ。

 お日様の光を浴びようと、朝はいっぱいに開いている。


 この年になると、失敗してもいいことがあっても、一喜一憂しなくなる。

 決して、悲しんだり喜んだりしないということではない。

 感情のふり幅が小さくなるのです。


 若い時、特に子供の頃は何が起きても驚いたり、喜んだり、くよくよしたり。

 僕の場合は、日常が不安と悲哀に囲まれていたので、それ以上に悲しいことは起きなかったけど。


 「行ってきまーす!!」

 今朝も息子たちの元気な声で目覚めた。


 どうか、花をいっぱいに咲かせて、悲しいことも辛いことも平然と呑み込める男になって下さい。


 桑村よしくに
 


大切なのはセクシャリティ

 窓一面の壁から春の日差しが注ぎ込む。

 ここはホテルサザンタワー20階のラウンジ。

 打ち合わせには、断然ホテルのラウンジを利用する。

 時間が空いた時も。

 ペニシュラ、コンラッド、そして帝国ホテル。

 高い天井と、抜けのよい景色、眺望、そしてサービス。

 勿論、珈琲の味も格別だ。

 これらが絡み合い一つのハーモニーとなり、それぞれのホテルの個性を演出している。

 
 会話はスムーズに進み、アイデアも豊富に湧き出ていつも有意義なセッションができる。

 なにより、リラックスできる。

 
 20代の終わりごろだったかな。

 勤め人時代。

 自分の置かれた環境に悶々としていた時。

 帝国ホテルのラウンジで閃いた。

 何となく閃いた。

 「誰かが作ったものや、誰かが値段を決めたようなものを売っていてはこの先ビジネスにはならないよな」

 勿論、商売にはなるんだが、そこにビジネスのセクシャリティは存在しない。


 打ち合わせを済ませて、サザンタワーの部屋から桜の花が咲き誇る新宿御苑を眺めながら思い出したこと。

 
 桑村よしくに


 
 

 

 

 

 
 


つまらない大人にはならないということ

  バチン!バチン!

 胸元に叩き込まれるチョップ。

 バーン!!

 マットに叩き付けられる裸の男たち。

 相手の技を受けることで、試合を組み立てるプロレス。

 勝敗だけに注目するなら、こんなに理不尽な勝負はない。

 
 「どうせショーでしょ。八百長でしょ」

 ショーや八百長の一言で片づけるには痛すぎるんじゃないか。

 総合格闘技で試合中に選手が死んだという話しは聞かないが、プロレスではあるでしょ。

 全く歓迎できることではないが、一歩間違えれば事故になるのに、相手に体を預けるスポーツ。

 迫力と同時に僕は、そういう男たちの悲哀に心を寄せてしまう。


 もう十年以上もプロレスを見に行くことはなかったけど、先月お誘いを受けて久しぶりに会場に行ったら、予想以上に息子達がのめりこんだので定期的に行くようにした。

 先週も後楽園ホールに行った。

 会場で六月の興業のチケットも買った。


 息子達には是非、プロレスの面白さとプロレスラーの悲哀を理解できる大人になって欲しいよな。

 会場にいた「気色悪いプロレスオタクにはならないで」と思いつつ。

 
 因みに棚橋選手は素晴らしかったです。


 桑村よしくに

 

 

 


桃色の川

 神田川の淵を桃色に染める桜の花びら。

 艶やかに咲いて、潔く散る。

 儚いものに人は思いを寄せる。

 そして、思いを馳せる。

 
 日曜日に息子達を連れて、近所の大宮公園に花見に出かけた。

 桜の花と青空と、花を取り巻く色とりどりの露店。

 そこに春の空気が鼻腔をかすめる。

 心の中にも花が咲く。

 立ち止まってしみじみしていると、次男が「パパ、クレープ食べていい?」

 「いいよ。いいよ。好きなものをどんどん食べな。やりたいゲームも全部やりな」

 息子達は目当ての露店に走り出す。

 クレープ→トランポリン→チョコバナナ→おでん→かき氷→タコ焼き→射的→玉こんにゃく→お好み焼き。

 二時間ぐらい露店を回ったかな。

 
 露店に用意された椅子に座って家族で食べたおでん。

 椅子が生憎三つしかないので、家人を僕の膝に座らせた。

 こういうのは全く恥ずかしくないんだよな。

 「今年もキレイに花が咲いて、無事健康でいられて、こうしておでんを摘まめることに感謝をしなきゃな」

 息子達は頷きながら、僕の話しを聞いているが、おでんを食べるのに必死だ。

 まあ、そういうことを自分自身で理解できたのも最近のことだから仕方がない。

 
 「ふっー。父ちゃん、もうお腹いっぱい!」と長男。

 「オレも〜」と次男。

 
 自分が働きたかった会社を作ったのと同様に、自分が付き合いたかったオヤジの姿を僕は追い求めている。

 川に浮く桃色の花びらを眺めて考えたこと。

 

 

 桑村よしくに
 


暑さ寒さもなんたらかんたら。

 今月は期末ということで、お客様との会食も多い。
 
 息子達とすれ違いの日が週に二日はあるかな。

 どんな内容であれ、僕は毎日彼らと会話をしたいし、基本的には毎日している。

 夕食を一緒にできなかった翌日の朝。

 一昨日だったかな。

 「パパ、やったよ!兄貴もやったよ!」

 朝リビングへ下りてくるなり、次男が大声をあげて駆け寄ってきた。

 「おっ。やったのか、スゲーな」

 「何をやったか知ってんのか、パパ」

 「知らねえよ。だけど、お前がやったんならパパは何だって嬉しいよ。おめでとう!」

 「空手の試験に受かってさ、オレは青で、兄貴は黄色になるんだよ!」

 「そいつはスゲーな!」

 
 昨晩家人から、このことは聞いていたので、知らないフリして会話をしたんだ。

 お尻の下に賞金を隠して、息子達が起きるのを待っていたんだ。


 「はい。賞金」

 「ありがとー!!」

 「すぐに開けない。それは下品だ」

 「はい!」

 次男は素晴らしい返事をして二階へ駆け上がった。

 「兄ちゃん!パパが〇千円くれたよー!早く下りてきなよー!」

 「おい、中身も見ないでどうして金額が分かるんだ?」

 「だって前も貰っただろ。オレ、大事なことは忘れないんだ。パパが言ってたろ。大事なことだけ覚えていればいいんだって。忘れることは大事じゃないから忘れていいんだってさ」

 「他になんか言ったっけ?」

 「自分を完全にコントロールできれば、必ず上手くいくって。それから、本当のことなんか何もないって。事実は解釈によって違うんだって。それから批判は聞いていいけど、侮辱は許すなって・・・」

 このあといくつか続いたけど。

 よく覚えているな。

 素晴らしいよ。

 学校では教えてくれない真理を教えるのは親の仕事だ。

 まあ、そういう大事というか、基本的なことを理解している大人が最近は少ないんだけどな。

 
 自身の話しをすれば、最近はもの忘れが激しい。

 どうでもいいことが多いのかな。

 ルミちゃんとのデートもすっぽかしちゃったしな。

 完全に忘れていた。

 怒っていたなあ、彼女。

 
 桑村よしくに

 

 

 
 


期末を迎えるにあたってのご挨拶。

 え〜。

 僕は家ではダイニングテーブルで仕事をしている。

 僕の目の前では、普段は温厚というか、天然ボケの家人が電卓を激しく叩いている。

 凄いスピードで電卓を叩いている。

 家人は研究所の経理担当で、地獄の金庫番だ。

 経費で愛人を囲ったり、トルコに行ったりは一切出来ない。

 家人の父は優秀な経営者だったので、トルコの領収書の見破り方も知っているはずだ。

 
 そんな家人が電卓をシバキ倒してにんまりしている。

 研究所の期末は今月末だ。

 どうやら、今期も予想以上の利益を計上したようだ。

 
 嬉しい。

 「男は黙って〜」というコピーがあった。

 僕はよく喋る方だが、この点に関しては「男は黙って」の主義だ。

 
 今期お世話になった皆様、来年もお世話になりますことを確信しております。

 おかげさまです。

 引き続き、宜しくお願い申し上げます。


 桑村よしくに


ゴールから始めよう

 今にも桜が咲きそうな柔らかい空気に足取りも軽い。

 風に漂うのは春の気配。

 打ち合わせを三件済ませて、夕方ジムに行った。

 二週間前から、三か月ぶりに体を動かした。

 何をしても体が軋んで、悲鳴を上げる。

 苦しい時に口ずさむ。

 「楽しいな。楽しいな」

 まわりからは変態にしか見えないんだろうな。


 スタートから物事を考える人がいる。

 物事を複雑にしてしまう人がいる。

 簡単な話しを難しく話す人がいる。

 シンブルなことも、込み入ったことも、面倒な方向にナビゲートしてしまう人がいる。

 上昇志向は強いが、思考や行動がそれに追いつかない人がいる。


 そういう人はね。

 ゴールから物事を考えよう。

 ゴールを明確にし、今月やること、今週やること、今日やることを抽出しよう。

 まあ、僕もそこまで細かく考えてはいないのだけれど。

 
 それからね。

 自分の野生の勘というか、臭覚を信じよう。

 何にも根拠がないけど上手くいきそうだと思うことに本気で取り組もう。

 個人的な話しをすると、今の仕事も、始めた時には成功する根拠は一切なかった。

 でも大成功するイメージや自信はあった。

 やりきる自信があったから。

 
 「どうしたら上手くいきますか?」と本日、将来性のある若い人達に質問されたので、真面目に答えてみました。

 
 もっと、自分に期待しましょう。


 桑村よしくに

 
 

 


今そこにある危機について

 一年前の震災で起きた、原発の事故。

 当時はもう日本の国がもたない事態に直面していた。

 まだ危機は続いているし、これからも更に大きな危機に直面する。

 金融破綻、オイルピーク、ハイパーインフレ、食糧危機。

 ついに、日経のメディアでオイルピークについてレポートされた。

 潔く、エネルギーを使わない暮らしを実行する準備は出来ている。

 抗ったってどうしようもないのだが、現実を認めず、怒り狂ったりする人間がいるんだろうな。

 今、世界はこの状態なんだけど。

 こういう話しをしているとキチガイ扱いされる。

 何を根拠にキチガイ扱いするんだろうな。

 そういう人間には「勉強不足」と優しく行ってあげたい。

 
 2012年12月21日。マヤ歴で謳われている「世界の終焉」は、資本主義が共産主義のように終わり、世界が新しい生き方や価値を作り上げなくてはならない日を予告しているんだと思う。

 NASAの長官がアメリカ国民に向けて、緊急時に備えるようにアナウンスをした。

 太陽からのプラズマ波で地球は大きなダメージを食らいそうだけど、そういうことも含めて、新たなステージに日本国から向かう必要があると、僕は思っている。

 
 桑村よしくに

 


梅の花

 いくつかの案件で東京、 札幌、名古屋、横浜、東京とロケが続き、来週はまた別件で東京でロケ。

 アイスクリームやシティホテルのプロモーションサイトなんかも受注しつつ、期末を迎えて引き続き、エンジンは好調。

 業務の報告はここまで。

 
 東京は冷たい雨。

 一雨ごとに春に近づいている。

 3月2日は15回目の結婚記念日。

 家人と地元、大宮の氷川神社で手を合わせ、二人で老舗の蕎麦屋で昼間から鴨葱とビールで乾杯した。

 息子達は留守番。

 
 昨日は次男と大宮公園に梅の花を愛でに足を運んだ。

 数本の木にしか紅梅は咲いていなかったけど。

 「パパ、いい匂いがするね」

 「うん」

 僕は梅の花の匂いが好きだ。

 でも複雑な記憶が蘇る。

 「いつも話すけどさ。パパがお前と同じトシの頃、石神井公園にすんでいる時があってさ」

 「家の前に梅が咲いていたんだろ?オレ知ってるよ」

 「うん」

 「じいちゃんが父ちゃんのこといつも殴って外へ放り出したんだよな」

 「うん」

 
 冷たい風に当たって見上げた夜空には冬の月が光っていた。

 パジャマで震えながら、鼻腔に入って来たのは紅梅だった。

 季節や天気ごとにいろんな匂いがあって、顔を腫らしながら嗅いでいた。

 もう消えてしまいたくて、真夜中に裸足で、西武池袋線の線路を歩いたこともあった。

 
 自分の家族を大切に思えば思うほど、僕は自分の父親に一切興味がなくなって。

 多分、死ぬまで会わないんだろうな。

 
 「パパ、あそこに縁日が出ているよ!大判焼きが食いてえ!」

 「おっ。行こうか。美味そうだな」

 「うん!兄ちゃんとママの分も買ってかえろうね!」


 僕は、息子たちがこの先、どんな間違いを犯したって、抱きしめて、抱きしめて、愛で殺す。

 
 桑村よしくに


 

 

 


カップラーメンと納豆ごはん

 昨日は休日だった。

 ダラッとしたくて、前々から予定は入れないでいた。

 10時ごろベットから起きだして、髭も剃らずに朝食を食べて、3DSのバイオハザードをやり倒した。

 途中、「博士の愛した数式」と「自殺サークル」を視聴した。

 一歩も外には出なかった。

 
 家人と会話した。

 「平日にスエットにセーター、髭面でダラダラしているオレを見て、知らない人は、仕事ないのかなとか、リストラされたのかななんて思うんだろうな。でもさ、オレの中で革命が起きたから、満員電車にも乗らないし、普段は早起きだってしないし、好きな時に休めたりするんだけどな。労働は時間ではなく、密度なんだよ」

 こんな僕の話しをニコニコして聞いてくれる家人は可愛い。

 
 そんな僕の昨日の昼食は、カップラーメンと納豆ご飯でした。

 たまらん。

 
 桑村よしくに


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